150503 結局、やりたいようにやる方が良い

Pocket

スポンサーリンク


以前にツイッター上でも予告をしていたアレである。
某グループ内で提出した物の改訂版。

—-

VTにおける戦略と戦術の配分

【この考察の目的と前置き】

ヴァーレントゥーガ(以下VT)のオリシナにおいて重要な要素は何か?
オリシナを良いもの、面白いもの足らしめる要素は何か?

この問いに対しての議論となると、まず、シナリオ的なドラマ性である。
いや、キャラの魅力である、いや、内政システムのバランスである。
いや、ビジュアルである――と、実にかしましいものがあります。

ですが、これらのどこを取って”良い”とするかは、究極的には個人の好みに帰結するものであり
同時に、暴論を言えば、すべての要素が優れているに越したことはなく
完全ではない(そもそも完全は存在するのか?)作品間における比較優位の域を出ないものであります。
そのため、この点に関して、統一的な見解・結論を導き出すのは困難であり
たとえ、きちんとした議論の場で、段階を踏んだ議論が行われたとしても
その場の構成員にとって、最も妥当と思われるものの近似値に着陸するのがせいぜいです。
(おそらく、構成員が変われば、妥当とするものもコロコロ変わるでしょう)

もっとも、その場の最適解と、それに基づいた作品評価というのは
別段、悪いことではなく、極々自然なことなので、その行為それ自体は価値がありますが
それが生産的で発展性に富むか?というと、やや疑問です。
特に作品個々の特徴の分析は要素の好悪を定量化しての議論が難しく
お互いの印象論のドッジボールに終始し易いので、それを以て是非を語るのは不毛です。
(膨大な量の資料と論拠が提示出来ればその限りではないですが、掲示板などでは困難でしょう)

よって、本稿ではそれらを中心のテーマとせず
VTのオリシナというものと不可分な
本体のゲームルール・システムを分析・考察の対象とし
その中で、ウォーゲームとしてのVTの特性と
プレイヤーが面白いと感じる可能性の高い要素を考えてみたい
と思います。
(定量化が難しいので定性的な分析にしたいと思います)

最終的にこれが制作上、参考になり得る一つの情報になったり
これが切欠となって、界隈自体の考察が深まればいいなと思います。

—- 
 
さて、デフォルトのVTは戦略面戦術面の二要素によって構成されていますが
戦略と戦術のどちらかで言えば、戦術寄りのゲームシステムであります。
その理由について考察する上で、まずはゲームの定義と設計を見てみましょう。
 

ゲームの目的:敵の排除によるクリア(敵勢力を全滅させる)
戦略で出来ること
・軍団の編制・配置:人材・経済も最終的にはここに集約
・外交:軍団配置にアドバンテージを発生させるのみ
・内政:経済値を増やす・軍団を強化する

戦術で出来ること
・敵軍団の排除
・軍団の強化(人材・兵士の育成)

 
 
よって、ここから示される定義は
『VTは戦略フェイズで軍団編成と配置を行い、戦術フェイズで敵を排除するゲームである』
となります。

つまり、プレイヤーが戦略面で取れる行動は
・誰と戦うのか?(どこに攻め込むのか?)
・どう自勢力を強化するのか?
の二点の意思決定に行動が集約されており
どう敵対勢力を弱体化・排除するのか?という点については
独自内政機能を追加しない限り、戦術面で”ブッ殺す”に終始するわけです。

また、プレイヤーは何者なのか?という点では…… 
 

プレイヤーは采配者であり指揮者である

1:適度に強い敵を
2:可能な限り損害を減らして
3:AIには実現不可能な形で
4:見事に勝利する

ということの繰り返しを求めながら、あるいは行って、ゲームを楽しむ存在と考えられます。

1が満たされない場合、ヌルゲーで飽きが早い、かといって強すぎると初心者殺し
2が満たされない場合、リセット&ロードをプレイヤーに暗に強要する
3が満たされない場合、プレイヤーが介在する必要がなくゲームとして成立しない。紙芝居である
4が満たされない場合、負け戦を望むユーザーは極少数である(破滅願望があれば別)

以上のような前提条件が考えられるとして
その上で、用意されたシステムの中で
プレイヤーが戦略面・戦術面のどちらに比重を置くようになるかを考えます。

ここではまず、プレイヤーの熟練について着目したいと思います。
(熟練度は熱中度とほぼ同じものと考えられるため)

ゲームの最終目的である「敵対勢力の排除」を”上手く”達成する上で
戦略面において操作可能な変数が少ない設計であるため
最終的にプレイヤーの巧拙・熟練の度合いは、戦術面における操作の上手い下手の部分で最も差が出易いこととなり
熟練プレイヤーほど戦術面を重要視する傾向になり易いと予想されます。

というのも、この熟練度を快感に転換するという点で、VTのRTS画面の操作インターフェイスは非常に巧みです。
細かい数字を把握して、一体一体ユニットを操作する、というSRPGの形態ではなく
プレイヤーは直感で軍の押し退き・スキルの使用が可能なため
この直感的で感覚的な操作によって生じる戦果には
プレイヤーの経験によって蓄積された、感覚の精度がダイレクトに反映されます。
言わば、慣れれば、直感的に押し時・退き時が分かり、被害を可能な限り減らせる
という点で、万能感を上手く感じさせる構造になっているのです。
ある意味、VTはシレンよろしく、プレイヤーの成長こそが勝敗を左右する最も重要な要素であり
デザインとして、取っ付きにくい・初心者に厳しいと言われる所以だと思われます。

余談ですが、この直感をダイレクトに刺激する設計が
一部ユーザー間でカルト的な人気を誇る理由なのかも知れません。

(※なお、この点において、ver.upやゲーム内イベントなどで
 プレイヤーが蓄積した操作の感覚を振り回す・混乱させるという行為は
 頭では納得出来ても、不快感に繋がりかねないので注意が必要だと考えられます)

—- 
 
更に、プレイヤー心理的な意味合いで戦術重視化を強化しているもう一つの理由に
兵士が単なる数字ではなく、レベルという育成要素を持つユニットであるため
死んだら消滅してしまう兵士の損耗をプレイヤーが嫌忌するという点が挙げられます。
(VTの兵士は、実質的に死んだら消滅する人材と同じです)
そのため、損耗が大きい場合、「やり直して上手くやろう」という発想になり易く
結果、戦略的にリカバリーを図るよりも「再挑戦して戦術を上手くこなす」という解決手段に帰結し易いのです

※ちなみに、インフレ・デフレバランスという対比構造が叫ばれて久しいですが
 個人的に、これは単なるステータス等の数値上の高低よりも
 戦術面における戦況のひっくり返り易さ(攻撃力と防御力)と
 その部分のプレイヤーの操作技術依存度の高さではないかと考えています
 そのため、ユニット数の多さ・領地数は大規模⇔小規模で比較した方が妥当だと思います
 (小規模インフレも大規模デフレも存在するという点で)

仮に、この点において戦術偏重化を避けたい場合
兵士の成長要素をなくし、補充を容易にするなど、限りなく数字に近い概念に矮小化したり
兵士の損耗によってのみ発生するメリットを別途用意するなどで
兵士の損耗によって発生するプレイヤーの不快感を和らげる必要があります

—- 
 
このように、大きく以上の二点から、戦術面の方に比重を置く方が
VT本体のシステムにおいてプレイヤーを熱中させ易い

あるいは快感を覚えさせ易い要素との親和性が高くなり、面白くなりやすい――
という設計になっていると推測出来ます。
よって、デザインとして戦術寄りのゲームだと考えられるわけです。

では、戦略面での比重を高める方法としては、どのような手段が考えられるでしょうか?

戦略性を担保・あるいは拡張するためには
つまるところ、戦略面においてプレイヤーが操作可能な変数を新たに設けるか
戦術面への依存度を下げる必要性
が発生します。

以下に具体例を述べます。

戦略性拡張の方法

・勢力数を増加+戦力を均衡化(ユニット上限数など)し、外交の比重を高める
・マップ、スポットの配置、AIの優先領地(home)の緻密化
・編成の組み合わせに幅を持たせる(ただしこれはLSとの兼ね合いで、戦術的意味合いも強い)
・物理的にプレイヤーの行動を縛る(ゾーン制・勝利しないと忠誠が下がり、独立反乱・領地移動制限など)
 (ただし、これはプレイヤーの不快指数も上げるので、使いどころを誤るとゲーム性が低下するだけである)
・プレイヤー操作時と自動操作時で、ユニットの死亡率に差が出にくい設計にする
 相対的に戦略面での部隊編成と配置・外交などの重要度が高まるため
 (だが、これはゲーム性の低下を招きやすい)
・独自の内政機能によって、戦略上、管理が必要な変数を増やす
 → 勢力の戦略行動を変化させる影響力を持つ要素を用意する
 → 敵勢力の人材の引き抜きなどが出来るようにする
 → ゲームクリアに影響する独自変数を用意する :一定値を超えたらクリアor敗北
 → マスターが放浪・戦死すると滅亡というシステムが戦術重視化を促している側面があるため
   マスターは国家概念のように独立したスポットに置き、スポット数が1になるまで勢力が滅亡しないようにする

  など
  
※各論はさらに掘り下げが可能ですが
 そうすると仔細になってしまうので、今回は詳しく扱いません。
 また、重要な独自変数を用意する場合は、視覚的にプレイヤーが認識出来ないと
 ゲーム性が低下したり、不快指数を上げる可能性があるので注意が必要
です。

いずれにせよ、個人的には兵士の成長要素を排除する(あるいは、成長の余地を限定する)というのが
最も手っ取り早く戦略面の比重を上げられる手段だと認識しています。
(KOEI三国志や信長でも、基本、兵士は数字ですしね)
仮に、その他の部分で戦略性を高めたい場合は
シナリオ設計の根幹の時点から戦略時に使用する変数の重要度を上げておかないと
後からver.upで要素を追加していっても、根本的な解決が図れる可能性は低い
と言わざるを得ません。

—- 
 
さて、そういった点から、たとえば拙作(きのたけ)の設計を分析しますと
軍団編成の組み合わせ(LS・雇用の組み合わせ)と戦術面への依存度が極めて高いことが分かります。
(雇用のプレイヤーチートの余地は完全に意図的です)

戦略面のフォローとして国策やカードはありますが
先ほど述べたように、戦略上、独自に管理する数値は少ない点
(LS付与も経済も結局、戦術面でのアドバンテージを生み出すための数値である)

また、熟練者ほど外交の優先度が落ちる点(正史時のAIパターンの把握により)
加えて、リプレイ性を高めるために、ゲームとしてのテンポを速める目的で1ターンあたりの重要度が高いことから
じっくり構えて戦略的に敵を追い詰める、のではなく、速攻有利という設計でもあるため
更に戦術寄りの設計で先鋭化している状態といえます
(複数の勝利条件は一応、戦略面にフレーバーを与える要素ですが、ダレ防止という意味合いの方が強いです)

これが良い所なのか悪い所なのかは、完全に人によって判断が違うでしょうが
差し当たって、作者サイドの想定としてはこのような感じです。

仮に、ご指摘のあったマスター首狩りを防止するという目的であれば
特効薬は前述のようにマスターを国家概念化することでしょう。
ただ、それは根本からゲームシステムの再設計が必要になるため
現実問題として、やるなら次回作にてその発想を実現するか、MODなどが無難かと思われます。
(本当に制作リソース的に余裕があれば、これはアリだとは思います)

また、外交をシステム的に完全に生かそうとした場合
極論を言えば、勢力の拡張・友好・敵対関係からストーリー性を排除するのが最も効果的であって
(あるいは、どこと仲よくしたかでストーリーが分岐するなどの膨大な派生先を一つずつ作ること。殺す気か!)
この方法論で、home設定、宿敵設定を可能な限り少なくする方法がベターと考えられます。
(戦略に応じて、敵の行動が多様化するため)

とはいえ、拙作の場合はマップのスポット間の連結数が多めで
AIを完全にランダム挙動にした場合、想定される拡張後の状態が非常に不安定なものとなります。
(正史なしモードを参照)
(ここはスポットの連結を絞ると、ランダムでも一定の方向に動かすことが可能)
そのため、ある程度の恣意性に基づいてAI勢力を拡張させたい場合は
外交的な柔軟性や戦略性とのトレードオフの関係にあるわけです。
つまり、現状から大きくいじるのは正直、難しいという結論なわけです。

—- 
 

それでは最後に改めてまとめです

VTの基幹システムは、どちらかといえば戦術面寄りである
 なぜなら、戦術RTSの操作が、直感的にプレイヤーの快感を刺激しやすいからである
 そのため、戦術面におけるプレイヤーの直感的操作とそれによって生まれる快感を増やすと
 必然的にゲームが面白くなりやすい(だが、これは初心者殺し要素でもある)
 (また、この積み上げられた戦闘感覚を狂わす更新やイベントは危険)
 
戦術偏重を更に後押しする要素として、兵士(一般ユニット)の成長要素も大きく影響している
 なぜなら、失敗した際に、戦略面よりも戦術面でリカバリーを利かせやすいからである

・戦略面を強化したいのであれば
 戦略画面でプレイヤーが能動的に操作できる、独自変数を新たに用意するか
 あるいは、戦術依存度を下げる工夫が必要である

・戦略面については、ただでさえVTのシステムが戦術面に寄り易い設計のため
 基幹部分から戦略面をどうするか練り上げておかないと
 追加実装程度では焼け石に水にしかならない可能性が高い

 (後出しで方針転換するのは極めて困難)

—- 
 
とりあえず、この考察については、ひとまず、ここまでとします。
今回はあくまで本体準拠のデザインに関する考察に終始しましたが
実際には、ここに更に、前置きで除外したシナリオ・キャラ・独自システムなどの要素が乗ってくるため
どうすれば面白くなるのか?の理論は更に複雑怪奇なものとなるでしょう。
(ここについては、敢えて触れない+自分の考えを表明しないようにしておきます)

いずれにせよ、今回の情報が作者諸氏、ならびユーザー各位の議論のネタになり
更にVTの面白さに関する理論的考察が深まることを祈って、終わりとしたいと思います。