2020-01-11

システム的にどこで苦労してもらうか

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どこで苦労してもらうかというのは、ありていに言えば、どこにプレイヤーのリソース――時間や経験や頭を使ってもらうかというシステム的な面白さに直結する要素と言えます。
つまり、ここ次第で相性面からユーザー層を決定づけることになるので、しっかり考えてみましょう。

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『苦労する要素とは』

ことSIMやRPG系に限っての話なので、以下に大別して話を進めたいと思います。

・数字あつめ
・建築
・人間関係

数字あつめは、素材や装備強化などハクスラ的要素全般を指し、建築は何か目に見える形のものをゲーム上に作り出すシステムのことで、人間関係はシナリオや、NPCとプレイヤーの間にある種の感情を発生させることを軸にゲームを動かす部分とPvP要素です。

上記ジャンルは、この三要素の配分によって出来上がるゲーム性に大きな違いが生まれるようです。
なお、結論から言うと、前回のコミュニティうんぬんの内容に矛盾するようですが、主に「人間関係」で苦労してもらうタイプのゲームの方が好みでしたので、次回作以降プレイヤーのみなさんには仮想の人間関係で苦労してもらいます(決定事項)
いや、孤独になりたい人ってたいてい現実の人間関係に苦労させられているだろうから、逆に人間関係をコントロール下において完璧に調和させたいっていう現実には達成不能な欲望を持っていると思うんですよ。
PvPやCo-opだと相手や周りにどうしても気を遣っちゃうって人もいるでしょうし。
そういう意味で宗教団体経営ゲーの目指すところは、信者NPCを適切に管理して神的にちやほやされるために苦労するって感じになるでしょう。
娯楽は現実と戦う力を補給するための慰めでないとね。

なお、この点に関して、一昨年から去年にかけてプレイしたいわゆるオープンワールド系(ARK、コナンエグザイルス、Kingdom Come、シタデル、Outward)+αで、この三要素のバランス差が、結構なゲーム性の差になっていたというケーススタディが比較に便利そうなので簡単に見ていきたいと思います。

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『数字あつめ』

これ系統の典型的なゲームといえばモンハンです。
素材収集→装備強化→強力な敵の打倒による新素材解放 というサイクルを短期~長期にかけて繰り返していくタイプのゲームで、上記のタイトル群ではARKとシタデルがこの傾向が強めな印象です。
ARKは最終的な目標やMAP毎の差異は確かにありますが、プレイ時間のほぼ大半は素材収集です。
素材収集を軸にレベルデザインされ、洞窟攻略・オベリスクボス打倒のために、必要な装備と必要な各素材を集めるのに便利な各恐竜をテイムしていく流れですね。
黒真珠、スピノサウルスの帆、ユタラプトルという言葉に嫌な感情を持つ人も多いのでは。
 

(ゲロつよアルファなどのトロフィー収集もなかなかの時間泥棒)

シタデルもARKに近いシステムですが、魔法を使った戦闘の楽しさがメインで、テイムはほぼ飛行目的です。
(エンドコンテンツにペットを連れていけないため)
ARKの方の装備更新要素は、作成に必要な設計図がMODを入れない限り狙って至高の高数値を取るのは困難なため、箱やイベントでたまたま手に入ればラッキー程度ですが、シタデルはその真逆で、入手時に性能がランダムで決まる強い装備集めがエンドコンテンツという感じでの差別化です。

なお、SIMだと金などの数値をとにかく増やしていくタイプのゲームはほぼすべてこれ系統です。
ベーシックな経営SIMは基本的にここに落ち着きます。
数字の増加・上昇にある種の快感を見出すものですが、最近だとAnno1800がこれ成分強めでした。
 

(シムシティライクな街作りシステムをベースに住民の要求に応じてサプライチェーンを構築していくゲーム)
(最終的には技師のおばはんと投資家のおっさんのご機嫌取りをせっせこする資本主義の犬と化す感じです)

これ系のゲームは素材要求量の多さや良い数値の出づらさがゲームのプレイ時間に直結するので、バランスが辛いほどプレイ時間が飛躍的に増えていきます。
しかし、やること自体は単純なため、分かりやすく広く受け入れられやすい気がしますね。
ただ、基本的にこのバニラのバランスというのが、概ねPvPやCo-opで遊ぶことを前提に組み立てられたものであり、ソロ専の立場からだと、バニラではだるさの方が先に来がちです。
モンハンでいえば、お守りハンターポータブルという蔑称が市民権を得ているのが極めて象徴的ですね。
一応、ARKでは各恐竜とはテイムを通してある種の人間関係的なものも形成されていきますし、後発のコナンに比べると若干不自由なものの、建築要素や収集要素も豊富、かつアップデート頻度も高いので、そのあたりでのモチベ維持のバランスの取り方はやはりこの手のお母さんだと感じます。


(手塩にかけたプテラくんとかイクチオくんとかほんとかわいい)

シタデルの方は、エクストラクトという素材集めを格段に楽にする魔法があるのですが、これに気付けないままだと素材集めが苦行化するので、なんだこのクソゲーとぱっと見で勘違いしやすい気がします
(なお、使用法に関するゲーム内アナウンスはない)


(自然のエッセンスでエンチャ。魔法ボタン押しっぱで遠距離から素材収集ができます。石の斧とかいう極悪ミスリード)

また、LVが上昇して装備更新が進み、魔法の強化が自由にできるようになると、指数関数的に自キャラが強キャラ化していくので、そこが他にはない独特の楽しさです。
キー設定をいじることによるキャンセル技もあり、ガントレットや剣にファイアブラストとアイスストライクをエンチャして、CTが干渉しない技を複数発動する形でヘルアンドヘブン+通常攻撃の三連撃を撃てたり、杖にアイスボルトとファイアボルトをエンチャして、ほぼ同時に発射するメドローアとかできたりするなど、戦闘がもっさりになりがちなこの手の中では一番派手でハクスラ要素強めかな。
 

 
ただ、エンドコンテンツの城塞は、雑魚もボスも異常に火力が高くてバニラのソロだとほぼ無理ゲー。
しかもそこのボス・箱ドロ品より最高ランク製造品の方が性能が良く、製造品の方が性能ガチャもしやすいという残念仕様です。そのあたりの設計はちょっとなぁという印象ですね。

なお、この手のゲームをプレイするときはオンライン断固拒否マンのため、いつもソロ鯖で、かつ鯖設定を大幅に変更するのに加えて、自作のものも含めてMOD山盛りにしたりしますし、ビルド分岐に関しては1キャラで全部やりたいのでスキル・ステ関係でCheatEngineも普通に使いますが、その場合真っ先にいじるのはやはり素材収集量とか重量・移動速度です。
その点からも、ソロゲーにおいて素材収集による装備更新を主軸とした不便要素や運要素でプレイヤーに苦労させるのは、正直好みでないと言わざるを得ないでしょう。
やられていやなことはやるな。逆鱗が欲しい時に限って紅玉が出る。 

プレイ時間の長さと楽しさの最高点は相関関係にはないと思います。
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『建築』

数字あつめと基本的に同じ過程を踏みますが、終着点が全く違うので別枠としました。
強い数値集めと違って、最終的にできあがるものがプレイヤーによって全く異なりますし、建築に対する目的も人によりけりだからです。
たとえば、マイクラは非常に顕著なので省くとして、Rimworldなんかだと、「当初の目的=星からの脱出」であったはずが、プレイ歴が進むほど、より不利な条件下での効率的なコロニー運営を目指したりとか、強大で幾何学的な基地の構築とかに血道をあげるようになり、最終的に脱出できるにも関わらず一切脱出せずに、氷河でコロニー維持+タワーディフェンス的殺し間作りがメインになっているなど、人によってエンドコンテンツ的な遊び方に大きな差が発生します。


(魔法MODとか入れるとなおのことね)

また、Oxygen Not Includedなどでもこの傾向が見られ、生存よりもいかに上手く各液体や気体の管理を行う施設配置を作るかの方に主軸が移っていきがちです。
各気体の比重とかを気にし出すころには、コロニーの管理意識はプレイ開始時点とはもう全く別ゲーです。

上記タイトルでは、コナンがこの系統でしょうか。
コナンは他タイトルに比べ建築コストが小さく、また奴隷システムが基本的に拠点防衛志向なのもあって、自分の拠点をいかに整備していくかが主目的になりやすい気がします。


(コナン公式ビルディングコンテストより抜粋)

もちろん、追放の地からの脱出という大目的があり、そのためにマップ中をまわらなければいけない(強い奴隷拉致目的にも)のと、各地のNPCやダンジョンの人間性的な魅力が世界観を補強しているのもあって、素材収集がそれほど苦痛にならない作りになっています。
個人的にはコナンのバランスや作りが一番好みですね。
また、ARK並みにMODも豊富で、遊び方を好き放題にいじれるのもいいですよ。
女キャラの脇毛を非表示にしたり、チンポの長さを調整してヘビみたいにできるMODがあるのはここだけ!

あとオープンワールドではないですが、去年個人的に一番の当たりだったCrossroads Innも、建築を主軸に置きつつ、かなり良いレベルで三要素のバランスが取れていました。
 

(レシピや家具のアンロック条件は、取り扱いエリアで評判を上げること)

レシピや新商品の調達のために、世界各地の評判を上げて交易エリアを増やす、というのが収集要素的にも中々上手くできており、同時にこの手のSIMには珍しくストーリーがかなりしっかりしていたのも良かったです。
ゲームバランス的には従業員のポンコツ具合とか、ムーンシャイン(密造酒)、ラキュール(薬酒)、自家製ミード(蜂蜜酒)が高利ざや過ぎて他のレシピが半分死にかけていたりとか、いわゆる”バギー”だったりとかと不満点もなくはないんですが、それを踏まえても総合的に楽しかったです。
 

(養蜂箱と畑の生産効率が良すぎるので、上階面積を狭めてでも作る価値がある)

個人的に従業員の担当エリア・フロア指定ができるだけで劇的に快適性が改善する気がしますので、そこだけ何とかなればいいなと思っています。
3階で掃除した後に、1階で皿を回収して、また3階にベッドメイキングしにいくみたいなアホ挙動やめて!

そういった点で、建築要素主軸は好みドンピシャではあるんですが、一点大きなネックがあります。
それは、作り手側からするとプレイヤーが介入可能な3D地形を前提とした組立という点で制作コストや要求技術レベルが上がりやすく、制御が難しいという現実的な問題です。
個人や少人数、しかもフリゲでこれをやるのは、それこそノッチ兄貴でもなければきつい芸当ですわ。
2Dのマス目を埋めるくらいならできるので、ガーデンスケイプみたいにクォータービュー見下ろし視点でレイアウト変更みたいなのは出来そうな気もしますが、やっぱりグラフィックコストがやべーことになるでしょう。
財布と毛根が死んじゃう。

『人間関係』

PvPやゲームコミュニティを前提とした作りは基本的になしの方向なので省くとして、ゲーム内で感じられる人間性的な魅力によってプレイヤーを引っ張る要素です。
ストーリーラインや各地のテキスト要素に始まり、システム内で疑似的に形成される人間関係にプレイヤーが介入できるような要素がこれです。

基本、ゲームに限らずたいていのコンテンツはなにかしらこの人間関係的要素を含んでいますが、これはSFで言うところの「どんな異星存在も人間性から離れられない」という奴で、我々が楽しいと感じるときは人間性が下地になければダメということなんでしょう。
そういう意味で、アンテなど枚挙に暇がないほどの好例があるわけですけれども、上記タイトル群に限れば、Kingdom ComeとOutWardがこの方面に主軸を置いていると感じました。

まずKingdom Comeですが、ジギスムントとヴァーツラフ4世の争いを背景にヘンリーくんの復讐劇と立身出世を軸にしてメインとサブクエストをどんどん進めていくタイプのオープンワールドです。
誰かが言っていましたが、「出口は同じだが、経路が人によって変わる」という感じの作りで、各クエストの攻略自由度がかなり高めです。
 

(説得の仕方、それらの成功率もプレイスタイルによってさまざま)

たとえば、最初の「死刑執行人から指輪を盗む」というクエにしても、白昼堂々と強盗してもいいし、夜に忍び込んでもいいし、交渉で騙してもいいなどやりようが豊富で、その都度展開が分岐していきます。
また、サブクエの結果や進捗状況がメインクエにも結構な割合で影響を与えるのも特徴的で、実際にプレイヤーがヘンリーくんの人生に介入している感が感じられます。
さらに、大貴族のボンボンで悪友のカポンくんをはじめ、衝撃的なムービーシーンで有名な破戒僧ゴドウィン神父みたいなヘンリーくんを取り巻くNPCも一筋縄ではいかないやつらばかりで、その辺も大いに魅力的ですね。
 

(カポンくんが煽るときに使った「アーチンポルト」とかいうカスみたいな蔑称大好き)
 
一点残念なのは、このゲームの貴族連中が軒並み話の分かるいい奴ばっかりで、平民のヘンリーくんに対して不気味なくらい優しいんですが、この理由がアレで、結局それかよ!と微妙な気持ちになったくらいです。
ある意味、それだけヘンリーくんの成長と出世に育ての親的な視点で入れ込んでたと言えるかもしれません。

そしてOutWardです。
このゲームは、バランスに関しては正直かなりのマゾ+面倒要素山盛りゲーで、バランス調整MOD入れまくらないと、ソロでは簡単なダンジョンですら初代ダクソばりの詰め将棋になってしまうほどきついです。
(おすすめはスタミナ回復2倍、POT歩き飲み許可など)
バニラでUnknown Arenaなんてマジもんのムリゲーだよ!
なのですが、世界観の作り方・見せ方が魅力的で、派閥三種シナリオ全てクリアするくらい好みでした。
マルチ関連以外の実績コンプしたのはコナンとこれだけです。
 

(地域やダンジョンごとに固有の背景や歴史を感じられます)
 
各地のダンジョンや都市ごとに独特の雰囲気やギミックがあり、クエスト・装備収集のためにどこ行っても似たようなことを繰り返す、というのとは真逆の作りでした。
戦闘がきつく、1:2以上をやるなら属性パズルを強く意識しなければいけないことに加え、重量制限のきつさが所持品の厳選も促すため、ダンジョンごとに持ち物を考える必要があるというのもそれを後押ししています。
(なお、現在重量が限界値とはまた別に移動速度に影響するため、重量制限X倍MODとかを入れて無計画に荷物を持つと、逆に足が遅くなって移動がだるくなる)
また、BGMも素晴らしく、戦闘・昼夜に分けて曲調が変わるというFF14のような細かな作りこみがとても良いです。ひとまず沼地の三部作をご視聴ください。

昼の沼地

夜の沼地

沼地の戦闘

こんな風にゲーム内に複数の独自文化や背景を感じられ、さらにそれを勢力間対立を軸にしたシナリオが補強するという作りになっていました。
ボリューム的にはそれほどなので、エリアがもう4種の計8種あったら、相当な傑作だったと思います。
なお、個人的に好きなビルドは、僧兵・哲学者・傭兵で片手斧+チャクラムです。
チャクラムは初見で使う人少ないと思いますが、銃よりもよっぽど取り回しが良く、剣がポンコツで属性片手斧が強いというあたりも王道外し的で良いですね。

つまるところ、人間関係重視のゲームというのは、各地のNPCとの関わりや、テキスト要素を見るためにプレイヤーを振り回したり、苦労させたりするという作りですが、単に数字強化を目的とするよりも、楽しさの最高点が高い気がしますね。
個人的にゲームはテキストを読みつくすために濫読する志向で、世界の果て見たさにゲームをしているようなスタイルなので、モチベ維持もしやすいというのもあります。
例えば、ソシャゲは色々手を出してはランキング要素や無駄な時間食いのイベントマラソン、課金圧力の無間地獄にゲンナリしてやめてを繰り返しているんですが、一番続いているのはストーリー見たさにやっている猫のニャッホだったりしますし。


(ニャッホくん(CV:杉田)を中心に、欲望に忠実なほぼクズ連中の織り成す狂気のストーリー。正月アプデで林忠正を出したのは素敵)

いずれにせよ、次回作の商売ゲーも宗教団体経営ゲーもキャラを基軸に動かすという方向性は前もってあったので、それを更にシステム的にも生かす感じにしていくことでシナジーを狙う形が一番自然かなと思ってます。
理想を言えば、もともとベースとしてあるNPCの性格を元に、プレイヤーの人材配置・指示で人間関係が形成されていき、それがゲームの管理・プレイヤーの判断全体に影響を与えるという感じで、RimWorldの心情とステラリスの派閥が融合したような感じのシステムを目指したいですね。
後は日報みたいな部分を作って、従業員同士の小競り合いがプレイの都度自動作成されていって、最終的に読み物みたいになるとかも面白そうです。
 
 
――以下引用元紹介――